銀色の彼






「何樹里君の教科書勝手に使ってんだよ!」




_________油断した。



目の前で罵声を浴びせる女達になんでトイレなんか入ったんだろう、と自分を責める。




昨日みたいに周りに人もいない今、逃れられる訳もなく、




「だって教科書なかったから」




とりあえず返事をする。




「そんなこと聞いてないわよ!」



「……じゃあ何」



「樹里君の教科書勝手に使わないでよ!」




……あんたは樹里か。




「樹里はそんなことで怒らない」



むしろ、シロ忘れたのー?仕方ないなーって言葉とは裏腹に嬉しそうに笑う気がする。




「嫌なら私のみたいに樹里の教科書捨てたら?」



そんなこと言うけどそれをしたら私が許さないし、何より、



「それはっ……」



言いづまる女達に思わず笑ってしまう。



できないよね?だって樹里のだもんね。



「もういいかな?」



女達の相手をするぐらいなら、教科書探しに行きたいんだけど。