銀色の彼




「それだけで良かったの?」



おにぎりを食べる私に、メロンパンを食べる樹里が聞いてくる。



「うん」



お腹が空いてなかったし、それに樹里が払うと聞かなくて申し訳なかった私は、結局おにぎり1つだけ買ってもらった。



「本当?」


「しつこい」



ピシャリと言い切った私に、樹里は眉を下げて笑った。



「……で」



メロンパンをかじってモグモグと口を動かすのをジッと見つめる。



「何かあった?」



ゴクン、と飲み込んだ後、こちらを見た樹里を私も見返す。



もう忘れてるのかと思ったのにしっかりと覚えていたようだ。



それにしても。


「……何で?」



さっきもそうだけど、何で私に何かあったと思うんだろう。



「様子変だったから」


「それだけで?」


「それだけじゃダメ?」



その言葉に何も言えなくなった。