銀色の彼



「これに乗るの?」


「え、うん。そうだよ?」



さも当たり前のように答えた樹里は岳さんに続いてあっさりと乗り込んだ。




「シロ、早くー」


「……お願いします」



樹里の声に運転手さんに挨拶をしながら乗り込む。



「どうぞ」



そう言って笑った運転手さんは藍色の髪の毛にサングラスをかけていて、よくわからないけど歳は私達とも大して変わらない気がする。



こんな若い人達が持てるものなの、この車。



「真白は俺達のこと、本当に知らねえんだな」



私の反応に少し驚いたように笑った岳さん。



「あー、そーだな、説明した方がいい?それとも、やっぱり興味ねえ?」



意地悪く笑われて、思わず樹里を見るとテヘッと笑った。



「はは、樹里は真白のこと気に入ってて、よく俺らに話すんだよ。シロが、シロが、ってね」


「ちょっ、岳!」


「……」


「まあ、許してやって。こいつが女のこと気に入るの珍しいからさ」



優しそうに笑う岳さんの横で、苦笑いで私を見る樹里。



しばらく睨んでいたけれど、ハア、とため息を吐く。



「別に……」



気に入られてるとかそんなのどうでもいいけど、まあ、嫌われてるよりはマシだと思うし、



それに、樹里も悪気があったんじゃないってわかってるから。