「あ、もう一人いるんだけどいい?」
校舎を出て一緒に歩いていた樹里が思い出したような顔をした。
「誰?」
「んーとね、たぶん、もう来てるかな……あ、いた!」
キョロキョロと辺りを探していた樹里の視線が、校門のところに立っている一人の男を捉えた。
「あ……」
あの男は、入学式の日に樹里と一緒にいた……
男の近くに着くと、樹里が紹介してくれる。
「入学式で一回会ったことあるよね!岳だよ。ちなみに俺らの一個上」
赤い短髪の男は樹里の言葉に続いて、
「話は聞いてる。真白だっけ?よろしくな」
そう言って口角を少し上げた。
優しそうな雰囲気の人だな、と思いながら私もペコッと頭を下げる。
「車も待ってるし、行くか」
「え、車で行くんですか?」
「ああ。呼んでおいたから」
ふーん、と思いながら、校門を出てすぐに待っていた車を見て驚く。
え、なんかすごい高級車なんですけど。
ベンツだったっけ?
何かわからないけど、絶対高級なのは一目でわかる。


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