その時。
「あー、やっと見つけた!」
男にしては高い声が耳に飛び込んだ。
「樹里か」
名前を呼ぶと、可愛らしい顔立ちの男が怒りながら近付いてくる。
「樹里か、じゃないよ!どこか行くなら連絡しろよな!」
「悪い」
「もう、ほんとにそう思ってんの!?」
プリプリと怒る樹里の頭に手を置くと、俺の顔を見た樹里が不思議そうに首を傾ける。
「?何かいいことでもあった?」
「あ?」
「なんか、嬉しそうだけど」
「さあ?」
なんだそれ、と更に不思議そうな顔をした樹里だったけれど、すぐにハッとなって、慌てて走り出す。
その後ろを俺はゆっくりとついていく。
そんな俺に樹里が振り返って声を上げた。
「早くしろよな!
_______________燈牙!」


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