[男side]
「おでこにキスしたぐらいで純情かよ」
叩かれた頭をさすりながら、真っ赤に頬を染めた女の姿を思い浮かべて笑う。
あの雪の日に出会った黒髪の女は、相変わらず生意気だったけど、媚びないその堂々とした姿勢は魅力的だ。
パッチリとした二重の瞳にきめ細かい肌、胸下まで伸びた落ち着いた黒髪、
大人しそうな可愛い見た目に反して、中身はすげえドライでズバズバ物を言う奴。
「……面白え女」
片膝を曲げて、肘をその上に置いて頬杖をつく。
「_________真白、か」
勝手にスマホを覗いて知った女の名前。
雪のように真っ白で、儚げなあの女にぴったりな名前。
思わず口角が上がる。


![[特別版]最強姫〜蘭蝶と白虎に愛されて〜](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre1.png)