銀色の彼




いっそ消してやろうか、と考えていると、



「消したら殺す」



物騒な声が聞こえたので、大人しく置いておくことにした。



灯だかなんだか知らないけど、この男の番号が入ってたって使わないから意味がないと思うし。




それなのに、この男ときたら、



「俺がかけたら出ろ」



すごい上から目線で、むかつく。



「なんで?」


「いいから出ろ」



無意識に眉間に皺が寄っていたのか、トンと指で押さえられる。




「んな怒んじゃねえよ」


「……」



無駄に整った顔を睨みつけていると、





「生意気な女」



フッと笑われ、チュッとおでこにキスをされた。



「……」




驚いて目を見開く。



は…?

待って、今何が起こった ?


おでこに僅かに残る柔らかい感触にカァーッと顔が赤くなる。



そんな私に、目の前の男は意地悪そうに笑って。



「ガキ」


「〜っ!最っ低!」



ますます顔が赤くなった私はごしごしとおでこを手のひらで拭いながら、男の憎たらしいくらい綺麗な銀髪の頭を一発叩いてそこから駆け出した。



あんな男、もう二度と会いたくない!