銀色の彼




「お前、ずっとここに来てんの?」



「……別に関係ない」



「ハッ、可愛くねー女」




なぜそんなことを聞くのかがわからない。



第一、私は毎日ではないにしろよくここに来てたけど、この男に会ったのは雪の日以来一度もなかった。



この男にとってはここに来ることはただの気まぐれなんだろう。




「お前、ケータイ持ってっか?」



「は?」



いきなり何を聞いてくるのか、驚いて顔を横に向けると、綺麗な顔が思ったより近くにあって、思わず身を引く。




「持ってねえのか?」



「……持ってない」



本当は持ってるけど、それを教えて何をされるのかわからないのに、正直に答える人がいるだろうか。




なのに。




____________〜♪〜♪〜♪




……最悪。


思わず眉に皺が寄る。


こんな時に限っていつもは鳴らないスマホが軽快な音を立てて着信を知らせるなんて。




「持ってるじゃねえか」



低い声にしまった、となる。



恐る恐る横を見ると、目の前の男は怒りを含んだ意地悪そうな笑みを浮かべていて。