「久しぶりだな」



どかっと遠慮もなしに隣に腰掛ける男。




「元気にしてたか?」



「……」



「あのマフラー、使ったか?」



「……」



「無視かよ」



あの日のようにハッと笑った男。




「まあ、別にどーでもいいけど」



そう言いながら、ポケットから煙草を取り出して持っていたジッポで火をつけようとする。



「……」



「んだよ?」



それを怪訝そうに見ていた私に気づいたのか、眉根を顰めた。




「…い」


「あ?」


「嫌い、煙草」



一瞬動きを止めた男はチッと舌打ちをし、



「第一声がそれかよ」



煙草とジッポをポケットにしまった。