ましてや、
「……クリームついてるけど」
「えっ、どこどこ?取ってー」
頰にクリームをつけている顔は、樹里だから似合っているんだろう。
「自分で取れば」
「えー、そこはシロが拭いてくれなきゃー」
「……うざ」
「あ、ほらまた!女の子がそんな言葉つかったらダメ!」
ほら、やっぱり。
こんな口の悪い私なんかより、樹里の方が断然可愛い。
「もー、取ってくれたっていいじゃん」
ちぇーと自分の人差し指でクリームを拭って舐めた仕草は可愛いのに色っぽさもある。
「照れ屋さんなんだから」
「きもい」
「ちょ、それひどい」
冗談だろうけど、一瞬、殴ってやろうかと思った。
樹里は可愛くて感が鋭くて我が儘な男で。
しかも何か有名らしく、周りからの視線を集めるせいか、私までとばっちりを受ける始末。
面倒なことこの上ない。
でも、まあ……樹里といるのは別に悪くないと、この一週間で感じてしまう自分もいた。