「僕、話してみたいなあって」
「…勝手にしろ。俺は関係ねえ」
「うん。でも、燈牙も話してみたら興味湧くと思うよ?」
「へえ…お前がそこまで言うのは珍しいな」
ニヤリと笑った燈牙に笑う。
「岳も興味あるもんね?」
「あ?岳もか?」
「まあ、一言で言うなら変わった女…?」
「ふーん……そこまで言うなら気が向いたら会ってやるよ」
ヒラヒラと手を振りながら歩き出した燈牙に慌てて声をかける。
「そんなこと言いながら、結局会う気ないんだー!」
「うっせーな」
振り向いて少しバカにしたような笑みを向けられ、思わずむう、となってしまう。
「バカバカ!燈牙には絶対会わせてあげないんだ!」
「おい、お前もまだどうなるかわかんねえだろ」
岳にパシンと頭を叩かれ、突っ込まれる。
燈牙はケラケラと笑いながら、また歩き出した。
その瞬間風が吹き、すぐ側にあった桜の木から花が散る。
薄い桃色の花びらと共に、目の前の銀色が揺れた。
[樹里side 終 ]


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