銀色の彼




「ふーん。ま、俺は別にどうでもいいけど」


「そうだ!このこと燈牙(トウガ)にも話そうよ」


「……あいつに話しても意味ねえと思うけど」


「えー、そうかなー?」



岳の困り顔に首を傾ける。



確かに燈牙が乗るとは思わないけど、言ってみるだけでも。




「あ、噂をすれば……」



呟いた岳の言葉に振り向くと、ふわあと大きな欠伸をしながらポケットに手を突っ込んだ燈牙がこっちに歩いて来ている。




「今日は来ないんじゃなかったの?」



「あー、なんか目、覚めちまったからよ……入学式終わったのか?」



僕と岳の間に立って、相変わらずまだ手はポケットの中。



「まだ。僕、サボりだから」



「ふーん。つーか、ここで何してんだよ」



「あ、そうだった。燈牙、面白い女の子見つけたんだ」



「女?」



ピクッと眉を上げて、怪訝そうな顔をした燈牙に思わず眉を下げて笑う。