はぁ……、と小さなため息を溢しながら、トイレを出ると、 すぐ近くに壁に寄りかかっている皐月がいてや反射的に「わ!」と声を上げてしまった。 「あのさ……、」 「な、なに?」 妙に真剣な顔をして、口を開く皐月に無駄に動揺して胸がドクンと鳴る。 「……行かなくて、いいのかよ。」 「……え?」 「たまたまさ見えたんだけど、もう一つあるだろ?」 ___ドクン、 そう言って、前に差し出される私が持って来た紙袋。 先程とは違う胸の音。徐々に速くなっていってるのが自分でもよく分かる。