お前のこと、落としてやるよ。



箱から出てきたのは、黄色のヘッドホンで、紛れもない私が朝選んだもの。



「皐月、音楽よく聞くからいいかなって思って」


私だって、しっかり考えてるんだ。適当に買った訳じゃない。



「大事に使わしてもらうわ、」


そう言った皐月の笑顔が、夏祭りの時と同じでなぜだか少し苦しそうだった。







___ジャー、



トイレの中に小さくついている、手洗い場の水で手を洗う。



あれからずいぶんたって、多分もう5時くらいになっていると思う。