トンネルの中だから皐月の声が妙に響いて聞こえた。 皐月が男だって改めて実感させらる。 力だって何倍も皐月の方が強い。 「襲われたくなければ合コンなんて、行くな」 「………分かった」 「ん、なら帰ろ」 そう言って先に歩いて行く皐月。 本当に私、何も言わなくて良いの? 皐月の背中を見つめながら自問自答してみる。 「さ、皐月!」 トンネル全体に私の声が大きく響き、皐月が私の方を振り返る。 「助けてくれて、あ、ありがとう!」