「ただいま」
「お帰り、カイくん」
家に帰ってきたみたいな挨拶をすると、
ハルナさんは僕が貸した小説に栞を挟みながら笑顔を見せてくれた。
「どうだった?」
「良くなって来ているって言われた。
まだ、安心は出来ないけどね」
「良かった!」
ハルナさんは、自分のことのように喜んでくれた。
それだけで僕は、凄く嬉しくなる。
ハルナさんの笑顔が、きっと僕は好きなんだと思う。
「ハルナさんは、どう?」
「あたしは元気だよ。
元々病気じゃないからね。
もうすぐで、手術するみたい」
「そうなんだ……」
僕はベッドに座った。
手術ってことは、終わって数日後ぐらいに、ハルナさんは退院してしまうのだろうか?
病気じゃなくて怪我で入院しているから当たり前のことなんだろうけど、
それだけで僕は少し寂しさを覚えた。


