鈍感さんに恋をした。



麻琴と楓は、るうセンパイと颯斗センパイと話が合ったらしく、それぞれ楽しげに何か話している。


あたしは…ぽつんと1人、ジュースを飲んでる。


さっき、心配顔のるうセンパイに声を掛けられたけど、首を振っておいた。


あたしなんかといるより、麻琴や楓といた方が、るうセンパイは楽しい筈だ。


「…ねぇ、君ってさ」


「…何ですか」


声を掛けて来たのは、他でもない湯河原センパイだった。


あれ? さっき、向こうでカラオケ熱唱してなかったっけ?


「やっぱり、君、あの時の子でしょ。
手帳落とした」


「あの時は、ありがとうございました」


ペコリ、と軽く会釈する。


「いーえ。気にしなくていーよ」