あのとき、あの場所で





俺はクリームを袋にいれて、それを彼女に渡した



「じゃあまず、こうやって袋を掴んで...」




「....こう...ですか?」




「そうそう、それで...」




俺は彼女に被さるようにして一緒に絞るのを手伝った




「....なかなか、難しいな。初めて人に教えながらやってるから...」




......歪な形のクリームができてしまった




「....あ..あのっ...えっと.....」




「ん?」




彼女は何か恥ずかしそうに顔を俯かせていた




「どうした....の、あっ、ご...ごごめん!!」




原因は俺の体勢にあった




手を握って被さるようにしていたから、抱きついているようなものだ




俺も恥ずかしくなってきて咄嗟に離れた




「い、いえ....クリーム絞るの楽しかったですし...」




「...ははっ、それはよかった」




あとは果物をのせて終わり




俺は果物を冷蔵庫からとってくることにした




「果物も好きなようにのせていいよ....苺と林檎、ブルーベリーにオレンジ...結構あるな、買いすぎたかも...」




今思えば、これは買いすぎだ




まぁ、この子に食べてもらうんだからちょうどよかったかもしれない




「好きなように....ですか?」




「うん、目一杯のせていいよ」




そう言うとわくわくしているのがみてわかった




「ははっ.....よし、じゃあやろうか?」




「??.....はい!!」




本当に見ていて飽きない




凄くいじめたくなると言うかなんと言うか.....




そんなことを思いながら




二人で飾りに取りかかった




俺が果物を切って、彼女が飾る




「どう?いい感じに出来てる?」



「どうでしょうか?.....いい感じ...ですか?」



俺は果物を切るのをやめて彼女のもとへ向かった



「.....うわ....凄い.....」



「....あ、駄目でしたか.....?」



少ししょんぼりして俺に聞いてくる



「逆だよ、凄く綺麗だ....こんなに俺のケーキが綺麗になるなんて、凄いよ美月さん」



何かいつもと違う俺の作ったケーキは



とても可愛らしく、そのなかに繊細さがあった



彼女らしいなと、少し思った