「おはよー」

「おはよー景」

「景ちゃんおはよう」


教室に登校して鈴菜と柊と挨拶を交わした景は、自分の席にカバンを置く


左横の席では、出席番号の関係で隣になった結斗が難しそうな本を読んでいるところだった


彼は本から顔を上げ

「おはよう」

と微笑む


本日2度目の王子スマイルを教室でもくらい、景は一瞬ドキリとしながら

「おはよう」

と返した


「相変わらず難しそうな本読んでるんだね、結斗」


経済の本だろうか

言われた結斗は表紙を景に見せつけながら


「こんな本読んでる奴に話しかけるのってなかなか勇気いるでしょ?」


と悪戯に笑った


「あ.....なるほど、もしかして女子対策?」


「そう。これを読んでれば俺のインテリ感が上がって、なおかつあんまり話しかけられない。一石二鳥」


「なにそれ。確かに立派な後継者にしか見えないね」


景がくすりと笑うと、結斗もふわりと笑って

「そういえば、ミヨちゃんは?」

と尋ねた


「あ.....やっぱり休むって」


「そっか.....心配だね」


「うん.....」


景が肩を落としてそう答えた時


「結斗、なに読んでんのー?」

ライが、わざとらしく彼の肩に手を回して絡んできた


結斗は一瞬嫌そうな顔をしてからため息をつく

「やっぱり、この本は効果がないみたい」