目をキュッと瞑ってよじれる満宵


あまり抱きしめて再び咳をし始めては困ると、景はそっと彼から離れた



「じゃあ、私は行くね。何かあったら深夜担当の寮母さんに言うようにね」


「分かった。ありがとう」


景は満宵に手を振りながら部屋から出る


ドアをパタリと閉め終えると、それぞれが色々な事情を抱えて、みんな頑張って生きているんだなぁと思うとなんだか切なくて溜息をついた


「何ため息ついてんの」

「うわっ、ライ」


まさか見られているとも思わず、横から声をかけてきたライを景はギョッとして見る


「びっくりした。いたなら言ってよ」


そんな彼女の不満にライは答えず、ケータイの画面で時間をチェックすると


「お前こそこんな時間まで男子寮にいんのかよ」


と鼻で笑った

景は風呂上がりなのか肩にタオルをかけたままの彼を見て頷く


「うん、でももう女子寮に帰るよ。ライ、まだ夜は冷えるんだし、早めに髪乾かすようにね」


「何?もしかして苺食ったことまだ根に持ってんの」


「もう、嫌味で言ってるんじゃないよ」


拗ねたようにライを睨んでから廊下を歩き出す景の行く手を阻むと、ライは彼女の頬をさらりと撫でた