「げほっげほっ」


夜9時

景は満宵の部屋で、ベッドの上で咳き込む彼の背中をさすっていた


「ごめん、ね、げほげほっ、景ちゃん」

「ううん。気にしないで。無理に喋ろうとしなくても大丈夫だよ」


咳き込む満宵は辛そうで、景は心を痛める

男子寮Bの他の男子たちと比べると一回り小さいその背中を、ゆっくりとさすった


「僕ね、ルークと同じ6組だったよ。千加は1組で、千冬と弥隼が3組だって」

「本当?私も1年6組だったよ。同じだね」


満宵は嬉しそうに景に微笑み、そしてまた咳き込む


咳が止まったところで、彼は悔しそうに唇を噛んだ


「すごい楽しそうなクラスだったよ。この寮だって好きだし、僕ずっとこの学校でみんなと笑ってたいのに.....。体、治らないかなぁ」


「いつかきっと神様が、みよちゃんに恋する時が来るよ。こんなに魅力的な子をほっとくわけない。いつかきっと良くなるよ!」


「あははっ、何それ変な考え。でも、素敵な考えだねっ」


満宵の透き通るような肌が、なんだかとても儚くて


桃色の唇から漏れる息が切なくて


微笑む時に震える睫毛が

潤んだ大きな瞳が

柔らかな髪一本一本が


とても愛おしい


「う〜〜」

「わっ!?」

景は思わず、ベッドの上の満宵に抱きついて

「可愛いな〜〜」


そう言って背中をさすった


「なんか、頑張ってるみよちゃんが本当に可愛いっていうか、健気っていうか」


「ちょっと景ちゃんっ?僕のこと妹みたいに思ってるでしょっ?」


「んっ」


「僕だって男の子なんだよ〜っ?って、あははっ、くすぐったいよ景ちゃんっ」