男子寮Bの花壇は、玄関付近だけでなく、寮の周りをグルリと囲むように続いている
しかも色々な花が咲いているおかげで、建物の周りはどこを見ても楽しめる壮観になっていた
1年生の5人は正面玄関から始まり、寮の裏を回った辺りのところまでの花を見終わると、そろそろ千冬と満宵以外の3人は飽きてきた頃だった
「まぁ綺麗なのは分かってるんやけど、よくこうもジッと見てられるな」
茶色い髪ををワシャワシャとかいてそう言ったのは、弥隼だ
彼に続き、ルークも背伸びをしながら頷いた
「早く寮の自分の部屋に入りたいんだけどね」
そんなボヤキに満宵はハァッとため息をつくと、彼らをジロリと睨んで首を振る
「まったく、これだから男子は嫌になっちゃうよっ」
「お前も男子やろ」
弥隼のツッコミも気に留めず嫌そうな顔をする満宵
千加は千冬の横にしゃがんでいたが、ヨッコラと立ち上がり、腰に手を当てて「ふうっ」と息を吐いた
「でも、先輩たち言ってたよね。.....誰だっけ?誰かがこないと俺ら部屋には入れないって」
その言葉に
「ケイっていってたじゃん」
とルークが反応した
「ってことは.....あの寮の先輩はあれで全員じゃなくて、少なくともまだ1人はいるってことかな」
千冬の推測に、「そういうことやな」と弥隼が頷いたその時
「わっ」
と満宵が声を上げて、全員が何事かとそちらを向いた
満宵の視線の先
そこには、こちらを建物の影からコッソリと見る
女子生徒が立っていた