意外そうに驚く結斗に、鈴菜は階段を駆け上がりながらふふふと笑う


しかしその後、上の階へとたどり着いた彼女は、顔をしかめてからとある教室の前で立ち止まった



「第4選択教室.....今この部屋から声せえへんかった?気のせいかな」


声を潜めてそう言う彼女の言葉に、結斗は視線をその教室へ動かす


廊下からは教室の窓の向こうは見えないが、それでも中が暗いことだけは窓越しに分かった



再び声が聞こえはしないかと、2人は耳を済ませて教室を睨む


わずかに廊下は静寂に包まれたのち


『景を離せ!』


そんな怒鳴り声が第4選択教室内から聞こえ、2人は瞬時に顔を合わせた


「何!?.....今の誰の声?火野ライやないし、妖術科の2人の声こんなんやった?」


焦るように言う鈴菜に、結斗は首を振る


「いや、これは咲夜といっちーの声じゃない。それにもし誰かが先にここを見つけて入っているんだとしたら、ケータイに連絡が入ってるはずだ」


「やんな!?」


中から聞こえた誰かの声


誰の声かは分からないが

この中で景がおそらく潮見に拘束されていることは確かで


そして、声の主は景の味方であることが分かる


結斗はケータイで『第4選択教室』の文字をライ、咲夜、市河に一斉送信すると、鈴菜の顔を見て頷いた


「入ろう」

「了解.....!」