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ライは男子寮Aのフロント横にある小さな売店で爽馬用の下着と歯ブラシを購入すると、レジ袋を吊る下げて颯爽と男子寮Aを出た
買い物途中、数人のクラスメートに見つかり
「火野なんで下着買ってんのー?」
とからかわれたが、爽馬の名前を出すと確実に面倒なことになりそうなので無視を決め込んだ
男物のボクサーパンツのデザインは至ってシンプルでとりわけダサくはないが、緊急事態でなければこんなところで下着を買うことなど男子寮Aの生徒ですら無いだろう
それが恥ずかしかったのも、男子寮Aを早く出たかった理由だ
1週間も経てば爽馬が学校に戻ってきたことなど全校生徒に広まる
そうすれば「そういや火野が男子寮Aに来て下着買ってたな。あれ小高のためか」となるはずだ(⚠︎ならない)
そんなことを考えながら男子寮Bに向かって歩いていると、早速どこからか爽馬の名前が聞こえてきて、ライは思わず足を止めた
「なんで妖術科の爽馬くん、男子寮Bの人たちと一緒に学校にいたんだろーっ!?戻ってきたのかな」
「それ絶対にユウコの見間違いだって。伊吹くんの家に侵入したのに、何事もなかったように伊吹くんと戻ってくるわけないじゃん」
「見間違えてなんかないよ!ユウコが確かに見たって言ってたもん!」
どうやら前方のベンチに座る女子二人が話しているようだ
_____もうバレてんのか
ライは情報の広まる速さに戦慄しながら、彼女たちに見つからぬようそっと木の陰に身を隠し、足音を立てぬようベンチ裏4メートルあたりから通り抜けようとする
その時に彼女たちの会話が、嫌でも耳に入った



