「いや、何もしないなら部屋にいれば?っていう結斗の視線を食らったんだと思うよ」
「あぁ、それまで何もしてなかったんですね」
鋭い市河の言葉に、景はその光景を想像して目を細める
「まぁ服とか生活に必要なものは明日俺たちが爽馬と買いに行くから!心配しないで」
「ありがとう、任せるね」
景から任された咲夜は大きく一つ頷いてから、表情を曇らせてハァと短いため息を漏らした
「斎藤2weeksかぁ」
「.....なにそれ」
「さっきライがそう言って嘆いてた」
「うわ.....ぜっったい斎藤先生の前で言わないでよ」
「「言わないよー、俺らは」」
咲夜と市河は二人して顔を見合わせて肩をすくめる
景のいない2週間を『斉藤2weeks』と呼び嘆いたのはライだというが、二人の表情からも、先の2週間を憂鬱に感じていることが読み取れた
「もしライが景がいないからって機嫌悪くして結斗に喧嘩売り始めたら、寝てる隙にラッピングして女子寮に送りつけるから」
ラッピングと言いつつ市河の親指で指された咲夜の顔は青い
「それはー.....受取拒否かも」
「大丈夫、輸送費タダだから」
「ソダヨー寧ろ危険物を包む俺のが大丈夫じゃないんだヨー」
3人はハハハと笑い合って、くだらない会話に終始を打つ
「よし、お風呂行こっか、いっちー。景もゆっくり休んで」
「ありがとう咲夜。日向もお疲れ様!」
「お疲れ、景」
振り返り手を振って大浴場へと歩いて行った2人と別れた景は、目の前にあった爽馬の部屋のドアを見上げる
先ほど市河家で耳打ちされた
ドアの向こうにいる彼の声を思い出した
_______“後で2人で話せる?”



