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20分後
男子寮Bにて
寮母用控え室___といってもキッチンスペースに隣接した小部屋だが___に置いてあった必要最低限の荷物をリュックにまとめ終えた景は、共有スペースにて階段から降りて来た結斗と目を合わせた
「お疲れ様、景ちゃん。荷物まとめ終わった?」
「終わったよ。そっちは?」
「うん、爽馬の部屋は大丈夫だよ。布団も出したし」
以前爽馬が使っていた部屋は綺麗に片付けられ掃除されてはいたものの、空き部屋となっていたので再び爽馬が使えることになった
とりあえず今晩眠ることができる程度のベッドメイクを結斗がしてくれたようだ
「ありがとね」
「とんでもないよ。また分からないことあったら聞いていい?」
「うん!もちろん」
景がニコッと頷くと、結斗も微笑み返して頭を優しく撫でてくれる
「2週間離れ離れになっちゃうのは寂しいけど、ゆっくり休んでね、景ちゃん。まだ爽馬は自分の部屋にいると思うから、女子寮に戻る前にもう一回会ってくるといいよ」
「うん、そうするね」
顔を見て爽馬に「おやすみ」と言いたい
景はリュックを置いて、個室のある二階へと階段を駆け上がった
階段を登った先では、ちょうど市河と咲夜が爽馬の部屋から出てきたところだった
「あ、二人とも」
「景。今爽馬に俺のジャージ貸したから、今日の服の心配はしなくて大丈夫」
そう言って親指を立てる市河に、景も親指を立てて「ありがとう、気が効く!」と笑う
「ちなみに下着と歯ブラシはライが売店に買いに行ってくれたー!アイツもたまーに優しいよなぁ」
「おおおー!」
しみじみ言う咲夜に、景もなぜか息子が成長したような気分になって
「それは優しい...彼にしては」
そんな本音が口からこぼれてしまった



