「あははっ、でも確かに。みんなと一緒にお風呂に入ればよかったのに。もしかしてああ言っといて実は混浴は苦手だった?」


結斗は

「そんなことないよ」

と首を振る


「でも今日はシャワーで済ませようと思って」


そっか。不思議そうに彼を見る景に結斗は「それとも一緒に入る?」といつもの彼らしく首を傾げて言った


「え」

ここにいるのが結斗だけでなかったら、「このセクハラオヤジ」「エロフェミニスト」などと非難が飛びそうである


「一緒に入ったら結斗ファンに殺されちゃいそうなんで入りません」


「大丈夫、真っ先に俺が景ちゃんファンに殺されてるから」


「ちょっと、私のファンなんかいないってば」



2人はしばらくくすくすと笑い合うと、景がはたと結斗が見ていたパソコンの画面に目を留めたので、話はそれに切り替わった


英語とグラフが入り混じったようなその画面は、景にはなんとも理解しがたい


こんな画面を結斗はあんな真剣そうに見ていたのかと思うと、彼のことがますます謎に思える


「なんの画面?」


見て見ぬ振りをするのもアレだと景が率直に尋ねると、結斗はパソコン画面を景に向けて答えてくれた



「面白いものじゃないよ。株価の推移を見てるだけ」

「かっ、株?」

「そっ。つまらないでしょ?」