生徒だけど寮母やります!2

「はっ?聞いてないんだけど、言えよ」

即座に反応して理不尽な怒りをぶつけてきたライに対し、市河は苛立ちを混ぜた笑みを見せる


「知らなかったのかー。ま、ドンマイ?」

「.....あ?」

「くだらない事で火花散らすのやめて下さいよ.....でもこれ、女の子にも人気なんですね」


千冬はいつも通り大人気ない先輩たちに呆れながら、手元のライトノベルに感心した



「んー。なんかお姉さんが好きだったみたいで、一緒にアニメ見てたって言ってたかな」


市河が思い出すように言うと、全員がはたと表情を変える


しばらく沈黙が流れた後

結斗がポツリと言った


「景ちゃんのお姉さん、逃げ切れたのかな」



____妖術結社から、爽馬の父から身一人で逃げるのは難しいのではないか


____逃げたとしてどうやって生きていくつもりだろう


____そもそも自分は素直に、彼女が妖術結社から逃げ出し幸せになることを許し望めているか



その言葉には、結斗の様々な複雑な心情が混ざっていた


「結斗」


ライに名を呼ばれ、結斗は彼と視線を合わせる

ライは全員の顔を見渡し、次いで市河と爽馬とアイコンタクトを取ると




「実は俺と爽馬といっちー、笠上美音と話して来た」




そう告げて


周りの全員を驚愕させた