困った様子の先輩4人の姿に、1年生の5人はどうやらまだ自分の部屋には入れないらしいと悟る


すると1年生のうちの1人、双子の片方が「あ、あの.....」と遠慮がちに手を挙げた


「僕、女の子たちから追いかけられてこの寮に入るときに、外の花壇に沢山花が咲いてるのを見たんですが.....」


「あぁ、あの花壇がどうかした?」


「もしまだ部屋に入れないようだったら、見てきてもいいですか。僕、植物は好きなんです」


そんな彼の言葉に、結斗たちは顔を見合わせる

外にあるのは、景が心を込めて育てていた花だ


「もちろん!あの花壇はこの寮の自慢だからなっ。暇だろうしもしよかったら、みんなで見て来なよ」


まるで自分が褒められているかのように咲夜が嬉しそうに頷くと、手を挙げた生徒は安心したように微笑んだ


「ありがとうございます」


すると

「じゃあ俺も千冬についてく」

双子のもう1人も、彼が行くのならとヒョイッと手を挙げる


それを見た他の3人も

「じゃあ俺も」

「僕もっ」

「俺も見に行きたい」

と、次々に手を挙げた


「うん、行ってくるといいよ」

先輩と一緒に寮の中でじっとしていたら緊張してしまうだろうし、こういう流れになって良かったのかもしれない


結斗はそう思いながら頷くと、「ね?」とライ、咲夜、市河を振り返った