「え.....MagicAssociation本部?」
彼はなぜ今その名前が出るのかを知りたそうに口を開きかけたが、景がそれを制すように彼の唇の前に人差し指を当てた
「知らないうちに、あなたたちがどれほど窮地に立たされてるのか考えてください。この件には高校生だけじゃなく、多くの大人が関わってくれています。だから、きっと勝ってみせます。
爽馬のお兄さんのことも守ります。無理に私たちに協力しようなんて思わなくていいんです。ただ、日和見るとこっちについた方が絶対いいと思いますよ」
言うことは強気だったが、景の表情は柔らかかった
「.....少しくらい、憎んで責めてくれた方がまだ楽だった」
そう呟いた彼に、景たちは顔を見合わせる
「もちろん憎んで責めますよ。あなたのお父さんのことは」
市河が当たり前でしょうと笑うと、初めて彼は切なそうにフッと笑った
「さぁ妖術結社を裏切れアイヒマン野郎」
「ライ、発言が酷い」
相変わらずなライの発言とそれを嗜める景にその場の空気が少し緩む
それも手伝って、隆馬は景たちを見渡すと視線を落としたまま小さく何度か頷いた
ポーカーフェイスで、何を考えてるのかはあまり分からなかったけれど
覚悟を持ってくれたような
少しの安堵を孕んだ
そんな表情を見せてくれた気がした
「分かった。この身体、本人に返す」
直後、結斗の身体から力が抜けて首から上がぐたりと項垂れる
白く霞かかるモヤような何かが身体からふわっと飛び出ると、それは人の身体をかたどる様にチカッと瞬き光った
その光は結斗の横に倒れると、眩さは薄れ徐々に人の形を表す
そこに倒れていたのは
白いTシャツにスキニージーンズを履いた、透き通ったように色が白く今にも壊れてしまいそうな華奢で中性的な顔立ちの男性だった