「爽馬の家族だからに決まってるだろ!」

強めにそう言い放ったのはライだ



僅かに驚いて目を見開いた隆馬に対し、続いて咲夜も訴えかける

「あなたや爽馬のいた環境がどれほど酷で抗えなかったか俺たちには計り知れませんが、いつまでも後ろばっかり見てないで進もうとしてる弟のこと見てください!それで所詮高校生かもしれないですけど、俺たちのこと信じてください」


聞いてはいるのだろうが隆馬は答えない

一人大勢の視線を受け、居心地が悪いのか誰とも目を合わせようとしなかった



当然だ


彼にとってこちらの要求を飲むことは、今までずっと従ってきた父への裏切りであり

従順だった自分を否定することにも繋がるのだから


簡単に寝返ってもらおうなんて考えは甘いことくらい分かっている



______でも一体どうすれば



そのとき景は何か言いたげな様子の市河と目が合う


自分が何か言いたげであることがバレたと察した彼は、はにかんで隆馬に対し遠慮がちに口を開いた


「えっと、爽馬のお兄さん。俺たちここまでくるのには結構時間かけて、覚悟持ってやってきたんですよ。この後は弁護士に相談して徹底的に妖術結社の埃叩き出す予定だし、何も算段無しに言ってるわけじゃないです」

「怖えー高校生だな」


ハルは自分の弟に対して純粋な感想を漏らすと隆馬の肩を抱く


まるで古くからの友人のようなノリに隆馬がギョッと引いた様子を見せるのも気にせず、彼女はニッと笑いその顔を覗き込んだ


「そんなにパパが恋しいなら戻っていいんでちゅよ?ただこっちも一連の話を聞きまして妖術結社に関する信用はガタ落ちなんでね。市河神社とその支社全てで今回の件の内部告発及び妖術結社からの脱退と寄付金付与の撤回をさせてもらいますけど」

「何であんたが決めるのよ」


ハルの大胆で嫌味な発言にシヅキか呆れたようなため息を吐くと

「姉さんも元からそのつもりやったくせに。女は怖いなぁ」

とカヅキが笑う


ハルの発言を黙って聞いていた千加も手を挙げ

「じゃー音霊使いの伊倉一族も内部告発してから妖術結社から手を引くことにしよっと」

と、出来るかどうかは知らないが思いつきで決定すると、続いて弥隼、咲夜、そしてルークも手を挙げた


「なら卜術一族の喜多も.....?」

「じゃあ一反木綿一族、布川も」

「ジャア、MagicAssociation本部でも」


最後のルークの発言に、隆馬は顔色を変える