「あの.....」
口を開いても、掛ける言葉が見つからない
「えっと、ごめんなさい。一方的に攻めてしまったのは私たちが良くなかった.....です」
思いがけず景が謝罪する姿に男子たちは「確かに多数で責めすぎた」と反省した様子で浅く頷いて口をつぐむ
けれどそれ以降、景も彼らも言葉が出てこなかった
_____なんて声をかければいいんだろう
「じゃあこういうのはどうかしら?」
言葉を詰まらせた景の代わりに優しい声色で皆にそう問いかけたのは市河母、シヅキだった
彼女は“結斗”の元まで移動すると、彼の目の前に膝をついて座る
そして両手で彼の手を取ると、目をまっすぐと見据えた
「結斗君の身体を返してあげて、そして本当の貴方は、しばらくはこの家で生活するの」
「.....ぇ?」
敵への予想外の発言に、全員は目を丸くする
しかしながら景はその言葉に頭をガンと強く打たれたような衝撃を受けた
「.....え?」
“結斗”は言われたことが信じられないとでも言いたそうな不信感をあらわにした表情を作る
そして鋭い眼光で睨まれてもなお、シヅキは優しい笑顔を綻ばせた
「いきなり他人の家で生活しろなんて言うことが突飛すぎて戸惑わせてしまったわよね。ごめんなさい。でも、あなたはきっと爽馬くんを連れて帰らないと妖術結社には戻れないでしょうから、私たちがこの件に片を付けるまでここで安全に過ごしてもらうことを提案したかったの」
「.....は?」
____ああ、こういうことだ
景はシヅキの言葉に泣きたい衝動に駆られる
____何も出来きなかったけど、本当は私も責めるんじゃなくてこうして手を差し伸べたかったんだ
____じゃなきゃ、この件には解決の糸口が見えたりしなかった
お母さんの言葉って、力強くて優しいんだな
シヅキに心底救われて
一筋の細い光が見えた気がした



