景が元気よく答えると、校長は微笑んで頷く
そんなこんなで景は、夜寝る前のこの時間
水差しとコップを満宵の部屋まで運んできたというわけだ
「病気の生徒なんて聞かされて、びっくりしたよね?」
満宵はベッドに座りながら景を見あげ苦笑いする
「確かに驚いたけど、想像と違ったよ。名前を聞くまでどの子が病気の子かなんて全然わからなかったしね」
「そっか」
もしかしたら本当はつらいところ、無理して明るく振舞っているのかもしれない
そんなことを考えながら、景は膝をついてコップに水を入れた
「ありがとう、景ちゃん」
「ううん。出来ることがあったり、体が辛くなったらいつでも言ってね」
「うん、本当に助かるよ.....!」
カバンからガサゴソと満宵が取り出した薬の量は眼を見張るほどで
コップを受け取りながら、彼は「凄いでしょ」と自虐的に言った
「でも僕ねっ、こうしてみると重い病気みたいだけど、全然動けるし元気なんだよ??」
「そ、そうなの?」
「そーなのっ。だから景はみんなの前では何も言わないでいてくれたけど、このことは別に秘密でもなんでもないからさっ。一緒に生活していくみんなには僕から話そうと思う。ちょっと病気なんですーって」
満宵は彼らのことを信用している
それがあまりにも嬉しくて
景は思わず口元を手で覆って微笑んだ
「そうだね」
「うん」
満宵の病気が何なのか
それはよく分からないけれど
そこじゃない
私は私らしく全力で満宵を守りたい
満宵が薬を飲むのを手伝い終えた景はそう思いながら、彼の部屋を後にした



