「妖術結社の人が景と結斗のこと助けたの?」
爽馬は若干目を見開いて、以降言葉を失った様子で並ぶ景と結斗を見る
「うん」
景は複雑な面持ちで頷くと、表情を変えない爽馬を心配した
だってその人は多分、爽馬の味方なのに
爽馬父を裏切って私たちを助けたせいで、もしかすると今頃はひどい罰を受けているかもしれない
「私その人に捕まって羽交い締めにされて、あぁ終わったかもって思ったんだけど.....
背後から『俺が合図したら、ここから全力で走って逃げろ』って言ってくれてたの
それで『.....爽馬のこと、任せた』って」
話を聞いて、そんな事まで言われていたのかと全員がしばらく無言で呆然とする
「妖術結社にも、爽馬の味方になってくれるような人がいたんだね」
市河が爽馬の肩を抱き顔を覗き込むと、彼は「.....ギさん」と声にならない声を出した
「よーし、任されたぞ」
心情を察した咲夜が、前向いてこうぜと言わんばかりに爽馬の背中をポンポンと叩く
顔を上げた爽馬は景と目を合わせ
少しだけ口元を緩めてから申し訳なさそうに顔をそらした
景が自分たちを助けてくれた一年生や市河家、友達に感じている言い表せないような感謝を、爽馬も感じているのかもしれない
それが爽馬を逆に苦しめてしまわぬよう
押しつぶしてしまわぬよう助けるのも、自分たちがすべき事だとそれぞれが感じた



