「ゆーーー!!」
咲夜は全身の緊張が解けたかのように顔をくしゃりと歪めて目を潤ませる
「結斗〜〜お前がこんなに恋しかった事はない。いつもウザいのに」
「あぁっ咲夜、そんなきつく抱き着かないでくれる?俺も結構ヘトヘトだから」
結斗は迷惑そうに咲夜を引き剥がしつつも、その顔は穏やかで優しかった
「頑張ってくれてありがとう咲夜。聞いてたよ、全部」
「ああ、お前もなっ」
先輩2人が固く拳をぶつけ合うのを見た一年生も、結斗の登場に大きな安堵を覚えたのか大きく息を吐き出す
満宵に関しては、我も我もと結斗に強く抱きついた
その様は身長差からしてまるで兄弟のようだ
「ううう.....結斗先輩ぃぃっ!」
「あははっ、ミヨちゃんまで。ありがとね、千加も千冬も弥隼も」
希望が見え始め喜ぶ彼らの様子を、爽馬父は炎越しに睨み
結斗に精気を吸われた結界師は地面に手と膝をついて荒い呼吸をしていた
6人は目で頷きあうと、ドラゴンを見上げる
結界が解けた青い空の下
碧金の龍は身の自由を悦ぶかのようにクルリと一周回ると、市河神社の方へと向かって身を翻した
____行け!!
誰もが心の中でそう叫ぶ
「結界が破られました!」
「モタモタしてんじゃねぇ!」
「逃がすなぁぁああ!!」
一般人に見られるとか、見られないとかそんな事はもうどうでも良い
とにかく爽馬とライの待つ市河神社に
無事にたどり着くように
______行け!!!



