やはり思いがけない行動だったのか、爽馬の父親を始め、スーツの男2人の顔色も変わった
小さなシベリアンハスキーは首をプルプルプルッと勢いよく振ってから、その形を一瞬で少女に変える
ポンッッ
しかしその身体からは骨が存在しないかのようにフニャフニャと力が抜け、予想済みだった咲夜にシッカリと抱きとめられた
「景」
「咲夜.....ごめ、ありがとう.....はぁ、はぁ」
「いいよ、大丈夫。無理しなくていいから、力抜いて体預けて」
景は膝立ち状態の咲夜に体重を預けると、深呼吸して身体を落ち着かせる
自ら出たいと申し出ておいて咲夜に頼りっぱなしの現状を情けないと思いながら、ゆっくりと視線を彷徨わせて爽馬の父親を探した
炎越しにこちらを見つめる男性と、目が合う
_____あ.....
声は聞こえていたものの、ずっとリュックの中にいた景にとって見るのは初めてだった
どことなく、爽馬の面影があった
______やっぱり親子なんだな
景は急に泣きたくなって、それを振り払うかのように立ち上がる
咲夜は何も言わずに手を取ってサポートしてくれた
「笠上景だな。逃走した笠上美音、爽馬の代わりに、お前を捕獲する。嫌ならすぐに2人を呼び出せ」
静かに用件を伝えるテノールに、遠くから足音が重なる
「到着しました!」
「遅くなりました!」
「.....囲め」
「「「はっ!!」」」
程なくして5名ほど、妖術結社の仲間だと思われる男たちが駆けつけ、彼らは炎の周りを囲んだ
もうだいぶ長いこと炎の中にいるからか
全身から汗が吹き出す感覚に襲われた
爽馬父が口を開く
「こちらの言うことが聞けないということは、捕獲されてもいいということか」
返答せずただ刺すような視線を送る景に、彼は苦笑を漏らす
「愚かな奴らに対する素晴らしい犠牲心だ。炎が熱くて苦しいだろう?すぐに開放してあげるから君から来るといい」



