「え?出たいって?」
「だから何で分かんねん」
鳴き声1つで景の気持ちを察した咲夜を、弥隼が不思議そうな目で見る
彼には咲夜は気がすすまない様子に見えたが、思いの外決断は早かった
「しょうがないな.....」
「へ?いいんですか、寮母さん出しちゃって。そりゃ気持ち分かるけど、危険すぎやろ。先輩たちに怒られますよ」
「どうせ帰ったら腹パン複数回が決定してるんでね.....」
リュックをひと撫でし、虚ろな目でハハハと弱々しく笑う咲夜
横で納得いかない様子の弥隼をチラリと見ると、色々気にかけてくれる頼もしい後輩に笑いかけた
「そろそろ景も変化し続けるのはツライだろうし、俺らがあのオッサンと同じことしちゃダメだろ?」
同じこと____目の前にいる仲間の父親が、笠上美音にしたことだ
「せやけど.....」
「うん。だけど危険だよな。でも、ほら、ドラゴンいるし」
「後輩頼りすぎ」
親指で背後にいるはずのルークを振り向きもせず指す咲夜に、千冬がぼそりと本音を漏らす
千加は「ン?」と何の話をしていたのかイマイチ掴めない様子のルークを見上げると
「イヤ、そういえば君、それが仕事で派遣されてきたんだったね。正しい使い方だったか」
と納得しながら手の甲で額の汗を拭った
「ちょっと待ってよオッサン」
咲夜が今にも掴みかかってきそうなスーツたちを制するように声をかける
「早くしろ!」
そしてリュックを地面に下ろすと、そっと開けて小さなシベリアンハスキーを取り出した



