次の瞬間
ブアアアアッという低い音を立てて一瞬にして周囲を炎が囲む
「狐火か」
爽馬が狐なら、当然この父親も狐
炎に囲まれた咲夜、満宵、千加、弥隼は4人中央に固まると、それぞれで四方を睨んだ
「ええんか住宅街で炎なんか出して、見られたらどうすんねん」
弥隼が笑みを引きつらせながら言うと、炎サークルの外でこちらを見ている“幹部”改め爽馬の父親は
「当然、結界を張っている。周りから私たちが見えることはない」
と鼻で笑った
「へーえ、安心だね」
千加の嫌味にも、揺れる炎越しに見える爽馬父は顔色を変えない
代わりにスーツの若い男があざ笑ったように反応した
「安心、か。周りの人間に気づかれないと言うことは、一般人に気づかれることは無いが、君たちの仲間にも気づかれず応援を呼んでも合流できないということだ!」
「何あのオジサン、一ミリも役立ってないのに良く喋るね。ね、ミヨちゃん?」
「そうだね、千加ちゃん。もしかして、気づいて貰えないのに応援呼んじゃったのぉー?」
「はは、さっき呼んじゃったよね.....もう顔バレとか関係なくなったし」
千加と満宵のこのやり取りを背中で聞きながら、咲夜と弥隼はハハッと笑う
「GOOD」
「JOB」
最後の咲夜の言葉に被せるように、満宵は小さな木の横笛を取り出すと大きく息を吸ってその音色を鳴らした
そう、彼は“音属性の魔法使い”だ
最初のタンギングは優しく柔らかく
息の量は均等に
白く細い滑らかな指が笛の上を滑る
綺麗でどこか懐かしい旋律に思わず咲夜も弥隼も千加も一瞬、目と耳を奪われた
ピアニッシモからクレッシェンドし、フォルテッシモへ一気に駆け上がったのと同時
「うわぁああ!?」
「Oops!」
結界の一部がパリンと割れて、ルークと千冬が地上2メートルほどの空中に姿を現し、ジャンプするように着地した
「何だ!!」
「結界が破れた!?」



