生徒だけど寮母やります!2


「いや今ここまで霧で来たんだけど、また霧になるの?せっかくの俺の甘い顔が全然活かせないんだけど」


「そう、その君の甘い顔さ。特にバレバレだろうから困るんだよね」


アメリカのホームドラマのごとく両手を上げて肩をすくめる咲夜に合わせ、結斗も口をへの字に曲げて両手を上げる


「おっと敵すら魅了させたのを忘れてたよ。まったく困った顔を持ってしまったね」


「何してんの先輩たち」


そこで真顔でこちらを見つめる、呼び出した本命の後輩3人に、厳密に言うとその中の千加に背後から声をかれられ、先輩3人はビクッと肩をすくめて振り返った



「うわぁぁびっくりした!!敵に見られたんじゃなくて良かったねこんなところ」


景の言葉に結斗と咲夜は3、4度頷くと短く息を吐き出す


「で、咲夜先輩。長いこと僕たちのこと待たせてたけど、今どういう状況なわけっ?」


ハムスターが怒ったようにしか見えない膨れっ面の満宵に詰め寄られ、咲夜は苦笑いしながら「ごめんごめん」と謝った


そして

それの説明責任は自分にあるとでもいうように、真っ先に説明したのは景だった


「夏祭りの途中、こんな所で待たせちゃってごめんね、千加くん、ミヨちゃん、弥隼くん。実は私たち、笠上美音.....私のお姉ちゃんにこの廃校舎にメールで呼び出されたの」


「「え!?」」

「!?」


よく意味が分からず疑ったような顔で聞き返す3人


景がそのメールを受け取った時に居合わせなかった咲夜も、「そうみたいだな。よく分からないけど」と、実は何が起こったのかよく把握してないことをアピール


景は結斗と目を合わせると


「時間がないから端的に言うね。よく聞いてね」


と、短い間に起きたことを互いに補い合いながら話し出した