妖術結社側とて住宅街で派手な攻撃をしてくることは無い___少なくともその程度の常識はある、とは思いたいが
もしかするとテレポート使いや催眠術師など、為すすべなく捕獲にかかってくるような要注意人物が紛れ込んでいる可能性は大いにある
ここにいるのも安全とは言い切れない
では一体どうすれば.....
景と咲夜は目を合わせると、景は咲夜を、咲夜は自分自身を指差した
「咲夜はそもそも誰にも見られてないよね」
「俺そもそも妖術結社に顔バレしてないよね」
ほぼ同時に言った内容はピタリとシンクロ
考えていることは同じだったかと、2人は頷きあう
「ね」
「うん」
誰にも見つかるまいと廃校舎に忍び込んだ後は、結斗が見つけるまで教室に隠れていた咲夜
しかも念には念を入れ布姿で潜んでいた
つまり妖術結社側に咲夜の顔は割れていないわけで
「私が犬になるから、咲夜が私をバックか何かで包んで隠しながら移動すれば、誰に見つかっても大丈夫なんじゃないかな」
景は早口で提案する
咲夜は表情を変えぬまま、変化する景の身体の負担を考えて首を捻るも、他に方法が思いつかないのか
「んー無し寄りの有りだな」
と提案を飲んだ
「有り!?」
「有りーだけど、リュックそういえばミヨちゃんたちに預けたな〜〜」
急いできたからなぁ、と咲夜は頭を軽くカシカシかいてわざとらしく肩をすくめる
ここまできて久々頼りになる後輩がいたことを思い出し、景は動きを止めた
「いやそういえばって.....そういえばミヨちゃんたちは夏祭りに置いてきたのさ?」
「いや、置いてきてないのさ。学校の周辺で待機させてたのさ」
「じゃあここら辺にいるんじゃないの?」
「いる。よし、ミヨちゃんと千加と弥隼を召喚すっか」
誰かから逃げている最中とは思えない呑気さで、咲夜はケータイをポケットから取り出す
「召喚って.....使い魔じゃないんだから」
とはいえ彼らの存在はかなり有難い
この不安から脱するべく早く3人に会いたいと、咲夜がメッセージを送る様子を景は熱視線で見守っていた



