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「あぁ.....だからあいつ、あんなに冷静に力強く爽馬とトベなんて俺に言いきったのか.....」
テレポートで爽馬と共に学校付近の住宅街に降りたった後
爽馬から説明を聞いたライはその場でヤンキーのように腰を落としてしゃがみ、青ざめた表情のまま思い返して呟く
爽馬は立ったまま、そんな彼を目だけで見下ろしながら
「驚いた。策を知らないライが躊躇いなく景を後に回して、僕にテレポートで飛ぶ提案をしたから」
と言葉の割には感情のない声でそう言った
「ほんっとにな、何も知らなかったわムカつく」
「咲夜にした事が自分に返ってきたみたいだね」
その名前を出されたことでライははっと顔を上げ、自分のことも棚に上げ、なぜかドン引きしたような顔を爽馬に向ける
「あいつな」
____そうだ、奴が悪の根源だった
景の腹、さらには胸囲に2周3周と巻きついたことを謝られても許す気はない、狭い心の持ち主は
その感情を綺麗に四文字に込める
それに対して爽馬は「いや.....」と微妙な反応をすると、なにはともあれ、ここから動こうと促すように手を差し出した
「景が屋上から飛び降りたのはテレポートの直前に見たけど、地上でうまく逃げれたかは分からない。お互いの安否.....特に景と咲夜のを確認して、無事であればどこかで合流したい」
ライは爽馬の手を取り立ち上がりながら頷くと、ケータイをおもむろに取り出す
そして、電話の履歴から「笠上 景」を選び発信ボタンを押した
プルルルルルル
プルルルルルル.....
「出ない」
逃げてるから?
敵と対峙してるから?
それとも_____
ライと爽馬は顔を見合わせゴクリと喉をならす
悪いことが起こっていませんように
そう願って
『俺と爽馬はテレポートで市河家に飛ぶから、落ち着いたら連絡してくれ』
とメッセージを送った



