ライは真顔を保ちながら

「掃除しろクソフェミニスト」


とホースの水を彼へ向ける


しかし瞬時に霧へと変化して、それを上手くかわした結斗は

「おっと、大人気ないよ」

とどこか嬉しそうに声を発した


仄かに紫に色づいていた霧はシュッと音を立てて結斗の姿に戻る


「お前の霧、便利だな」

真顔でそう呟く市河の横で結斗はライに向き合うと、景が1年生たちと向こうで話し込んでるのをいいことに、いきなり入り込んだ話をしはじめた



「実際、君って恋愛感情として景ちゃんを好きなんでしょ?」


核心をつくその言葉に、ライも市河も面を食らった顔をする


特に市河としては、結斗がそんな話を持ち出してくることに意外性を感じ、しばらく表情は固まったままだった



「お前もだろ」

ライが言う


お前も..........その言葉はつまるところ、ライの肯定の意を表すことになる


結斗は予想よりも具体的に意思を示したライに、満足げな表情を浮かべてから頷いた



「もちろん。俺は景ちゃんへの好意を隠したことは無いはずだけど?」


「お前のはあからさま過ぎて、その性格上裏があるように見えんだよ」


「だとしたら深読みだね。まぁそれくらい、君が景ちゃんに接する俺を警戒してるってことなのかな」


結斗は何を言われても動じず、いつも通り軽くかわしているが、その内容には市河も、「そうだったのか.....俺もそこは謎だった.....」と独りごちた