「やっと、自分で守れるようになったから。日本まで来てくれた彼のことも。大切なみんなのことも.....」


久々に、その青く透き通ったガラスの瞳に吸い込まれそうになり


景は気づかないうちに息を止めながら、ジッとその瞳の奥を見た


「はーいはい、口説くのはみんな無事で寮に帰還した後に、順番こだヨッッ!!」


パリンッッッ


景は突然結斗に抱きかかえられ後方にジャンプで降り立つ


ジュッッ.....

元いた場所に火の玉が落ち、即座に追手が近くにいるかもしれないと周りを見渡した


が、その気配はない


どうやら追手が周りにいるわけではないようだ



「あ、ありがとう結斗.....!」

「どういたしまして、景ちゃん。なんかデジャヴだね」


勢いよく移動した際に乱れた髪を直しながら横を向くと、割れた窓ガラスが目に入った


あのガラスを破って火の玉が入って来たのだろう


結斗に助けてもらえなかったら今頃火傷を負っていた


咄嗟に爽馬は目の色を変えて「狐め!」と叫ぶと、同じような5つ並んだ火の玉を窓の外に放つ


シュッッ!!

パリィィンッッッ!!


ッシシュボッッ!!


応戦してくるかのように負けじと飛び込んでくる火の玉を風で切りながら、窓の外を睨み

「狐供!!」

と凛々しい声を廊下に響かせた


「さっきから目の敵みたいに言うけどお前が狐じゃん。な?」

「ね、ねー?」


同意を求めてくる市河に、景は苦笑いして頷く


最後、爽馬がまるでバスケットボールをゴールに決めるように大きな火の玉を窓の外へ放つと、そこでやり合いは途絶えた


「お、終わったのかな爽馬?」

「うん。結斗、景のことありがとう.....2人片付いた」

「い、いえいえ。片付いたって、敵?誰が?」

「.....知り合いの兄弟」

「容赦無(な)」


相変わらず冷徹な一面は変わらない爽馬に3人は口を噤むも、思わず笑いが漏れる


クスクスと笑う3人に、何笑ってるんだろう、という顔を向ける爽馬


結斗は胸をなでおろして景の肩に手を置いた

「今までのは本当に杞憂だった気がしてきたよ。ねぇ、景ちゃん」

「うん。本当に」

「おま、不安で不安でたまらない景の気持ち返せー。会いたくて会いたくてふる」

「何言ってんやて。私だけじゃないじゃん、日向も泣いてたね?」

「いーやいやいや、オレ大号泣」


ひと笑いした景は相変わらず何を考えているのかわからない爽馬と、どこかスッキリした表情の結斗と市河を見る