「「.....!?」」
上空には何もない
そして目の前では、あと数歩でこちらにたどり着きそうだった10名ほどの追手が、次々に膝から崩れ落ちウーウーと呻いていた
「くっ、なん.....だ?」
「身体が痺れて動かねぇ.....」
身体が痺れた?
何が起きたのかよく分からず、目の前の光景を見つめる千冬とルーク
「何やられそうになってんだよバーーカ!ぁぶな」
考える暇もなく、突如聞こえた声に2人は顔を見合わせる
「先輩!?」
それは紛れもない先ほど別れたライの声、というか罵声
階段を上って上の階まで行ったあと、景、結斗、市河、爽馬から離脱したのか
はたまた彼らもそこにいるのかはよく分からないが、どうやらライは上の階の窓側にいるようだ
「上から声が聞こえますがセンパーイ、二階ですか?」
千冬が音霊使いの能力を使い、自らの声を拡声器に通したが如く拡張して質問する
「んん、二階。てかルーク、今!はよ加熱しろ!」
料理指導でもしてるかのような、頭上からの見えない先輩の指示に2人は目を合わせると、「ん?は、はい」と生返事をしてルークは再び熱風を出す
動けなくなった上に熱風を浴び、ウーウーと呻き出す追手
見ていて少しかわいそうではあるが、完全に相手を弱らせるにはこれをしばらく続ける必要がありそうだった
「これ先輩、追手を脱水症状にでもして弱らせるつもりなのか?」
「ンー、地味だよネ」
やはり直接攻撃は避けて徐々に弱らせるしかないのか
とはいえライが加わったことで、校舎昇降口の警戒態勢は一階に千冬、ルーク、二階にライの計3名となった



