「うわぁ.....」
見渡す限りの人
長く続く屋台を夏の熱気が包んでいる
親子連れや、元気な小学生たち
高校生カップルに、部活帰りの男子中学生
屋台を眺め、列に並び、食べ歩く
みんなが笑顔で談笑する様子は、あまりにも自分とは正反対で
「夏祭りだぁ.....」
私も子供の頃は、熱気あふれる夏祭りが大好きだったことを思い出した
____というか、ここはドコなんだ?
夏祭りのポスターなんかが貼ってあれば、地名が分かると思ったが
見渡しても特に手掛かりは見つからない
けれど
「みんな楽しそうだなぁ」
私は思わず口の中でそう呟き、ゆっくりと辺りを見渡した
くるくる回るカラフルなスーパーボールがやたら綺麗で
パステルカラーにチョコスプレーがまぶされたチョコバナナが可愛くて
私はいつからそんな気持ちを忘れたのだったか
「爽馬くんは.....夏祭りが好きなの?」
横でじっと動かない彼に目線を動かし尋ねると、面白くもなんともない
「いいえ」
ただそれだけ、返事が返ってきた
「.....えー、じゃあなんで来たのよ。何か食べたいものとかないの?せっかく来たんだし」
「別に。僕はここにいるから、ハナさんは見て来たら」
「えっ?連れ出しといて、なぁにそれ。私一人で回れってこと?」
信じられない!
普通のオンナなら大激怒だよ!?
私は眉を顰めて爽馬を見るも、どこか夏祭りを遠い目で見つめる彼の表情に息を飲んだ
私と同じ
この目は、夏祭りを楽しまない目だ
ならばなぜここに来たのだろうか
けれどそんな事を聞くのは野暮だから、私は何も見なかったフリをして一人散策のために歩き出した



