生徒だけど寮母やります!2







「うわぁ.....」


見渡す限りの人


長く続く屋台を夏の熱気が包んでいる


親子連れや、元気な小学生たち

高校生カップルに、部活帰りの男子中学生


屋台を眺め、列に並び、食べ歩く

みんなが笑顔で談笑する様子は、あまりにも自分とは正反対で


「夏祭りだぁ.....」

私も子供の頃は、熱気あふれる夏祭りが大好きだったことを思い出した



____というか、ここはドコなんだ?


夏祭りのポスターなんかが貼ってあれば、地名が分かると思ったが

見渡しても特に手掛かりは見つからない


けれど

「みんな楽しそうだなぁ」


私は思わず口の中でそう呟き、ゆっくりと辺りを見渡した



くるくる回るカラフルなスーパーボールがやたら綺麗で


パステルカラーにチョコスプレーがまぶされたチョコバナナが可愛くて




私はいつからそんな気持ちを忘れたのだったか



「爽馬くんは.....夏祭りが好きなの?」


横でじっと動かない彼に目線を動かし尋ねると、面白くもなんともない


「いいえ」


ただそれだけ、返事が返ってきた



「.....えー、じゃあなんで来たのよ。何か食べたいものとかないの?せっかく来たんだし」


「別に。僕はここにいるから、ハナさんは見て来たら」


「えっ?連れ出しといて、なぁにそれ。私一人で回れってこと?」



信じられない!

普通のオンナなら大激怒だよ!?


私は眉を顰めて爽馬を見るも、どこか夏祭りを遠い目で見つめる彼の表情に息を飲んだ



私と同じ

この目は、夏祭りを楽しまない目だ


ならばなぜここに来たのだろうか



けれどそんな事を聞くのは野暮だから、私は何も見なかったフリをして一人散策のために歩き出した