「ヒィィィィ」


ライが決意を固めていると、雑草をむしっていた景が間抜けな悲鳴をあげたのでハッとして彼女を見る


「むむむ虫!虫!虫!」


慌てた景の指がさすのはゴキブリやコオロギによく似た茶色の虫


カサカサと動くそれから目を離さぬように「ライ虫!」と叫ぶので、ライは重い腰を上げて彼女の横にしゃがんだ


「虫!」

「分かったから」


ライはちょっと黙ってろとでも言いたげに吐き捨てながら、虫をジッと見る


暫くすると虫の動きがピタリととまったので、景はホォッと息を飲んだ


「虫が止まったー!命の恩人ありがとう!今、虫に何したの?」

「電気使った。その虫は弱い電気で一定時間体内焼かれて死んでる」


その言葉に景は顔色を変えると

「鬼!」

と叫んでライに非難するような目を向けた


「恩人じゃねーのかよ」

「それはそうと、ライ電気使うの上手くなってるね。前は電気を使うと対象に届くまでが金色にバチバチッて光ってたけど、今回それ見えなかったし」

「それを言えばお前もだろ。最近はそんなに変化しない」


景はライの言葉に考えるそぶりを見せる


最近あまり変化をしないのは、月夜にパニックを起こさなくなったというのも原因ではあるのだが


まぁ.....気をつけられるようになってきたとも言えるかな?

「多少よくなったかもね」


景はそう思い、困ったように笑った