そうか.....
こいつも男子寮Bか.....
理屈的でない理由で納得した自分に苦笑しながら、鈴菜はペットボトルの口を口元に運ぶ
こんな所にいないで、君のことが大好きな妖術科のクラスメイトの元へ行ってあげればいのに
そんな言葉をコーラと一緒に飲み込むと、有姫の様に素直にイケメンを愛でるのも悪くないのかもしれないと思い
膝に肘をつき手のひらに顎を乗せ、隣に座る咲夜をジッと見た
「な.....何?」
「はは」
驚きと笑いが混じった様な反応に、少しちょっかいを出してみたくなる
「景のこと好き?」
「は!?」
どストレートに尋ねると案の定、咲夜は大きな声を出して反応した
初めてまともに喋った相手にこうもからかわれては、自分だって戸惑うし怒るだろう
それを承知で言った手前、少し申し訳なくなって
「毎日毎日同じ女の子と同じ部屋にいたら、相手のことを知って好意も出てくるもんなんかなって気になっただけや」
この質問に特に深い意味はないことを強調した
「あぁ.....なるほど?.....逆は考えなかったのか?毎日毎日一緒に生活してたら、相手の嫌な部分を見ちゃって恋愛対象には出来なくなったり」
「うん、あるやろなぁ。でも君ら頭ええしな、嫌な部分はキッチリ守って見せそうもないし。一年ちょっとじゃそこまで行かんのかなと」
「ああぁ、よく分かってるね。奴らそんな感じ」
咲夜は初めて人間味ある表情で笑うと、風で葉を揺らす木々を見上げる
そして視線を動かさぬまま、優しい表情で口を開いた
「俺が、景のこと好きだと思う?九雷さん」



