「中2の時、この学校に嫌々見学に来た時に、授業をサボって昼寝をしてた変な喋り方の女子生徒にちょっかいをかけた」


その言葉だけで十分で

それが

姉、笠上美音だと


景は強く確信した


「景ちゃんならもう分かったよね」

「うん.....」

「去年、市河家の神社の夏祭りに行った時。帰る直前に、俺は景ちゃんといっちーのお姉さんであるハルさんと、笠上美音の話をしたんだよ」


その話には加わっていなかった市河とライははそうだったのかと目を見開く


「姉ちゃん.....景のお姉さんと知り合いだったんだ.....?」


そんな市河の言葉に、結斗は

「サボり仲間だったみたいだよ?」

と微笑んだ

「.....あぁ、なるほど」


授業をサボる姉、ハルを想像してか遠い目をする市河に、景は苦笑いしてから視線を結斗に戻した


「そのときハルさんが、お姉ちゃんが言ってた言葉を教えてくれたんだよね......」


「そう、それが、その言葉がライが言っていた女子生徒の会話と同じだったんだよ」


ライは深くため息をつき、頷いて納得の意を示すと冷静に呟いた


「みんな結局、面倒くさい悩みを沢山抱えて生きてる。それはマトモに生きてる証拠だ。そう言ってた」


「ハルさんが言ってたのと同じ.....」



お姉ちゃんのその言葉が

ライの気持ちを変えたんだ


以前ライから、この学校に入学する至った理由にとある生徒の存在があったと教えてもらった事はあったが


「お姉ちゃんのおかげで.....私はライと、出会えたんだね.....」