少し進むと、その先に待っていたのは開けた広間だった
「また怪しい場所だな」
「絶対なんかあるね」
「間違いなく」
中央には赤く重厚な布が菱形にかけられたテーブルがあり、皿やナイフ、フォークやスプーンなどの食器類も、それぞれの椅子の前に丁寧にセットされている
ただしどれも苔がこびりつきヒビ割れ、所々が酸化して赤茶に変色していた
床にも埃がつもり、透明だったはずの窓ガラスはくすみ汚れて外も見えない
大昔、誰かが大切な人々と晩餐を共にしようとするもその時が来ぬまま、永遠に時間が止まってしまったような空間だった
2人の予想通り何やら広間の先の暗がりから、黒い影が近づいて来る
市河は気配と音により判別できるそれをジッと見ると、景の耳元に囁いた
「ごめん.....視た。多分コウモリ.....それも10匹くらい」
「10匹!?」
景は数の多さに驚くと、寧ろ視てもらって良かったかもしれないと思いながら眉唾を飲む
ゆっくりと集団で近づいていたはずのコウモリの音は鋭くなり、2人ともコウモリが加速したのだと察知する
瞬時に顔を見合わせると、景は胸にバッと手を当て
「読んで.....!」
と囁いた



