「ひぃぃい動いてる.....」
そりゃ何かの仕掛けはあるだろうと思いながら、市河は力強く自分の腕に抱きついている景に視線を落とす
「中から何か出てくるわけではなさそう、かな。大丈夫だよ景」
そう言いながら、てか胸当たってね.....?と、単純にも赤く染まっているであろう自分の顔を想像した
廃墟が暗いことに心から感謝する時が来ようとは.....
そもそも俺って今男として見られてないんじゃないか?
だって今男じゃないからね
そんなことを考えている間に、何やら前方方向から人らしき影が近づいてきたようだ
「あれは.....?」
身構える市河に、景も異変に気づいて前を見る
その影は近づくに連れて俯いた少女の姿を現す
そして少女は立ち止まってからガバッと顔を上げると、まるで見せつけてくるかの様に悲惨な顔面を前に突き出した
「あーーーっ」
「ひっ」
これには景の叫び声と共に、市河も思わず反応してしまう
正直言うと彼女の顔面は、背を向けた汚いテディベアらしきものがベットリくっついていたせいでよく見えなかった
どのようにくっついていたかというと、人間には目というものが二つあり、テディベアにも可動な手は左右に一つずつ、計二つあるわけだ
思い出すだけでも吐きそうなので、そのあとは想像に任せるとする



